ライフ オア デスティニー

「うっ」 



 避けることも忘れて、エヴはまんまとファーストキスを奪われてしまった。エヴは思わず口を拭って事の重大さにおののいた。
 絶叫、である。そしてぽろぽろと大粒の涙を流した。



「そりゃあ、私は一介の天使よ。勇者名乗って福音の子と呼ばれて育った……けど、もう、あこがれのあのひとに会わせる顔がないッ」



「なんだ? ちっと反応、過剰じゃね? 初心なんだなあ、天使って気取ってるもんだと思ってたけど。ちょーっち俺、好きかもしんね」



「無礼な。この方は天上の勇者。あなたを地上の勇者と見込んで、救い出しに来たのです」



 謝りなさい、と言外に語る、その強いつよい、瞳。

 ゴルドンの忠誠心は本物だ。









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