ライフ オア デスティニー
 悔しそうに土をつかむエラルドをおいて、エヴはさっさと日陰に引っ込んだ。


きれいなプラチナブロンドが埃だらけだ。すぐにでも洗い落としたいのだろう。


 無意識に触れながら、毛先まで梳く。


 こんな試合は彼女だから我慢できたのだ。


 熱砂が渦巻くコロシアムは、観客席全部が蒸し器で蒸されているみたいだった。


 たった今勇者の認定資格を放棄した少女が控え室に入ると、入り口のところで清潔な布と冷やした飲み物、化粧水等、付き人がすっかり用意して待っていた。


 彼はしわがれた声でささやく。



「お耳に入れたきことが。ぜひにも」



「つっかれてるのよねん。今じゃなきゃ、だめ?」

 
彼女は肩を落として、やや甘えるように付き人を見た。


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