ライフ オア デスティニー



 トランポリンのように光るゴルドンのネットが彼女の体を受け止めていた。そこで待っていた付き人が、がっしりとした腕に彼女を抱くと、気をつけて、と、いうようにうまくバランスをとって立てるようにしてくれた。

 相変わらず音は聞こえない状態だったけれど、相手がいるなら会話は通じる。何も特殊な能力が無くても、じゅうぶんな光があれば口の動きで相手の言いたいことは理解できる。



「天界からでなくとも地上には地獄への入り口がたくさんあります。わたしが通ってきたのもその内の一つ」



 暗闇の中で、ゴルドンが唇だけで伝えた。

 光のネットを作れるのは彼しかいない。



「なんでそう言うことを早く言わないかな~」










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