才能に目覚めた少年
「残念だけど、患者のことをほかの人に教えることはできないんだ。
決まりでね」


「ちょっと待ってくださいよ。約束と違う」


「『藤沢ナナミ』に宜しく言っといてくれ」


「ちょっと先生」


「すまないね。患者さんが詰まっているんだ。また来週だ」








たぶん、このまま言い続けても言ってくれないと思った。





ドアの前で森下先生を見て「ありがとうございました」と言い、部屋を出た。



先生はこちらを見ていた。



部屋を出たら、靴箱に行き病院を出た。










病院を出て、一つ気になることがあった。








なんで森下先生はナナミのことを『藤沢ナナミ』と呼んでいたのだろう。
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