才能に目覚めた少年
僕たちは現在、高校二年生であり、来年には職を探さなくてはならない。


進学したいのなら、別であるが、僕の学校は進学校ではない。


たいていの人が職に就く。


それにそろそろ現実を見るべきだろう。


所詮、高校生五人が頑張ったところで世界は何も変わりはしないことを…


ナナミのことにしても、『W』のことにしても僕たちの考えの甘さが原因なのだ。


僕は皆に言った。







「伊藤、それに皆…もう辞めないか」






皆が僕を見る。


僕も言った以上、言葉を曲げる気はない。


「ミコト、これまでしてきたことを全て捨てるつもりか」


「そうだよ。それが僕たちのためだ」


「それが俺たちのためであろうと、世界は何も変わらなくなるぞ」


「世界がすべてじゃない。僕は皆がすべてなんだ」


「…」


「そうか、それなら仕方がない」


「伊藤…ごめん」


「辻本、山本、ナナミはどうする」


「私はまだ残るわ。世界の『W』が注目する組織『C』の今後が気になるしね」


「俺も参加するよ。これから面白くなりそうだから」


辻本と山本はまだ続ける気なのか。


問題はナナミだ。


これは賭けだ。



僕は抜けることを皆に伝えた。


もう戻れない。






お願いだ。

ナナミも僕と一緒に抜けてくれ…
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