傷跡
『そしたら止められることもなくすんなり入れられた。親父の兄貴のおじさんはたまに会いに来てくれたりはしたけど…俺に会いにくるやつなんか他には誰もいなかった。母親も俺が富山行くの断ってから連絡もなかったし…。まぁでも似たような境遇のやつとか生まれた時から施設にいたやつとかいったし、施設自体は嫌じゃなかったよ』
そう言って光輝は、施設に入った頃の話をしてくれた。
こんなうるさいやつがいたとか。
よく喧嘩して怒られたとか。
でも、そんな話をする光輝の姿は、なんだか少し楽しそうだった。
光輝の過去にも、笑顔で振り返ることができる日々がある。
それがすごく、
あたしはうれしかった。