傷跡
『あ、代表おはようございます』
『おー。あとは俺が説明しとくから千場は出勤確認してきて』
『はいっ』
千場くんと代表さんらしいその人の会話はすぐに済み、千場くんが座っていた目の前の席に、その人はドスっと腰をおろした。
『はじめまして。俺はこの店の代表やってる速水勇二。光輝とはこの歌舞伎町でずっと仲良くしてもらってるんだ。よろしくね』
ちょっといかつめの外見とは違って、代表の勇二くんは優しい声であたしにそう言った。
『初めまして杏奈です。よろしくお願いします』
このお店。
CLUB SEASONの代表、速水勇二。
彼は光輝と歌舞伎町に出てきた時期がほぼ同じ時期らしく、出会いは酔っている時に道端で喧嘩になったからだと話してくれた。
『出会いは最悪だったけどさ、今は大好きなんだよね、あいつのこと』
年齢も光輝と同じ歳で、あたしのひとつ年上。
光輝のことを大好きだと言ってくれた勇二くんは、あたしの中にすぐに溶け込んできた。
『まっ、とりあえず客席に着いてみようか。分からないことがあったらすぐに手上げて呼んでくれたらいいし』
勇二くんにそう言われたあたしは、慣れないドレスに着替え、初めての接客をするために客席へと案内された。