傷跡



『失礼します…初めまして』





お客さんは、二人組のサラリーマンで。


雰囲気も良くて意外に普通で。


えっ?

なんやこんなものなの?っていうのが印象的だった。



もっとこう…

なんていうか…イメージを悪く持っていたから。



いやらしい感じにくっつかれたりするかと思っていたけど、普通に会話をしたり、お酒飲みながら話を聞いたりする程度なんだぁみたいな。




『もう指名されたの?』



そして、急にお客さんはあたしにそう聞いてきたんだ。




『いえ、全然まだです』


『よしっ、じゃあ俺が初指名してあげるよ。君結構面白いし気に入ったし』



そう言うとその人は、ボーイさんを呼んで、あたしを指名すると言ってくれた。



初めての場内指名。


よく分からなかったけど…


なんだか少し嬉しかった。




結局その人達は延長延長で三時間もいて。



帰り際、名刺を渡すとメールアドレスを教えてくれた。



これが…仕事なんだ。



なんだか呆気ないようで。


あっという間に過ぎていた3時間という時間。




これで時給六千円って…
すごく破格すぎない?




もちろん水商売はピンキリで。



安いスナックなら1500円とか。

キャバクラでもナンバーワンクラスだと時給一万円の人もいるらしい。



それこそ高級クラブが連なる銀座なんて行けば日給で六万円とか。




そんな差の激しい世界なんだけど。



あたしにとってはすごい世界に思える。



それだけのお金が動く世界。



なんだか少し…怖いような気もした。





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