傷跡




『あ!杏奈!今日の感想と今後のこと話したいし今から飯食いに行かない?光輝に電話して聞いてみてよ。妬かれたら嫌だし』




ルイと話し終わって着替え終えたあたしは、一人で更衣室を出ると、勇二くんがそう声をかけてきた。



うーん…


まぁ光輝の友達だし…。


そう思って光輝に電話をしたら、光輝もすんなりオッケーしてくれて。



あたしと勇二くんは二人でお店を出ようとしていた。




『勇二くんどこ行くの?』


『新人ソッコーで口説く気でしょう〜』




その時、二人組の女の子が後ろからそう言って近付いて来た。




『バーカ。この子は友達の彼女なの。今日は初出勤だったし仕事のことも話しておきたいことあるから飯食いながら話そうと思ってんだよ』


『えーっ、うちらの時は初日でもご飯なんて連れてってくれなかったくせにー』



女の子達はそう言うと、少し冷めた目であたしを見ながら黙ってロッカールームへと入っていった。




一番気まずいのはあたしじゃん。



別におなかが空いていたわけでもないし、

ご飯を食べに行きたかったわけでもない。



もう…
なんかとばっちりくらったみたい。



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