傷跡
次の瞬間――――
光輝はあたしの目の前に倒れていた。
勇二くんが…
光輝を殴ってしまってたんだ。
『勇二てめぇー……!』
『女の胸ぐらつかむようなことすんなよ!いい加減目ぇ覚ませよ光輝!』
『ハハッ……――』
光輝は倒れこんだままいきなり不器用な声で笑った。
あたしには、その笑い声の意味が理解できなかった。
『ハハッ、何アツくなってんだよ。お前らさぁ、好きにすれば?もう勝手にしろよ』
光輝はそう言って立ち上がると、冷めたような瞳であたしの前を通りすぎ、一人でビルへと入って行った。