傷跡
一度光輝が家に遊びに来た時の、挨拶の声の大きさや礼儀正しい印象が良かったかららしいんだけど。
まぁ人を見た目や職業で判断したりしない親でよかったなぁなんてちょっとお父さん達に感謝したっけ…。
『ただいまぁー』
『おじゃまします!』
実家に着いたあたしと光輝が家に入ると、リビングにはお父さんとお母さんが待ってくれていた。
『光輝くん立ってないで座りなさい〜』
しかもお父さんは、なんだか久しぶりに光輝に会えて少し嬉しそうだった。
普通、娘が彼氏連れて来たら怒ったりしそうなんだけどなぁ…
あたしはそう思いながらも二人が仲良さそうに話している姿を見ていると嬉しくてなんだか笑顔がこぼれていく。
『契約大丈夫だったか?』
お父さんがそう言うとあたし達は二人でお父さん達にカギを見せ合った。
『無事に契約も完了しました。あの……僕はまだ若いですけど杏奈さんとは真剣に付き合っていきたいと思ってるので…これからも…あの、よろしくお願いします!』
光輝は…
見たことのないくらい真面目な顔でそう言うと、あたしの両親に頭を下げていた。