最初で最後のキス〜短編





「由姫………抱きしめたい」


悠斗君は唐突に言う。



「どうぞ」


私は悠斗君の前に向き直った。



ふわっと優しく、風が撫でたような感覚があった。



「思い切り抱きしめたいのに」


ふてくされながら私を包む。



私は小さな声で、「私もあなたに触れたい」と言った。




どうして触れないの?



あなたの体がここにないから…?




例えば中学の時に知り合ってたら、触れることできたかな?








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