世界を敵にまわしても
――――…


「ふーん。それで?」

「椿は悪い人じゃないと思うって」

「そしたら?」

「何言ってんの?って感じで口引きつらせながら固まったから、そのまま教室戻りました」

「うははは! 放置しちゃうんだ!」


放課後、音楽準備室で先生の手伝いをしながら、あたしは今日あった事を話していた。


「それで、昼休みは図書室?」

「そうですけど……笑うのやめてもらえますかっ!」

「笑ってないよ」


今更キリッとした顔したって無駄なんですけど。


3年生1クラス分の提出物を名簿と照らし合わせて、未提出者のリストを先生の顔面に突き出す。


「出来ましたよ」

「あぶ、危ないっ! 紙で切れたらどうすんの!」

「刺さればいいと思います」

「あれ? そっち?」


特に返事をせずに提出物の端を整えてクリップで止めると、先生があたしの名前を呼ぶ。


「ありがとう、助かった」

「それより自分の仕事は終わったんですか」

「どういたしましてって聞こえた事にするね」


……終わってないのか。


呆れながらも笑っていると、「奏ちゃ~ん」という、聞きなれた声が耳に入った。


「宮本か」

「入るよ~!」

先生の声と晴の声が重なって、同時にドアが開く。


< 105 / 551 >

この作品をシェア

pagetop