世界を敵にまわしても
「空いてる席に座って。ハイ、始めるよー」
先生はあたし達を通り過ぎると、そう言いながら黒板の前に立つ。
「え! 朝霧先生も委員なの!?」
「そうです。まぁ、責任者は主任だけどね? 俺は雑務要員」
「あはは! ドンマイじゃんセンセー」
3年生と会話をする先生を見ながら、あたしは晴と真ん中あたりの席に座った。
……やっぱり先生は人気者。なんて、今更なことを思ったりして。
暫くあたしが独り占めしていた気分だから、ちょっとモヤモヤする。1週間話してないせいもあって、なおさら。
先生がプリントを配り始めると、他の先生達が何人か視聴覚室に入ってくる。
最後に3年生の学年主任らしき人が来ると、先生は視聴覚室の後ろに歩いていった。
――やだな。
意識が、後ろに集中してしまう。先生がいると分かってるのに姿は目に見えなくて、落ち着かない。
この時間は大体いつも、音楽室にいたから。
先生と話しながら雑用を手伝って、先生が淹れるカフェオレとお菓子を食べていた空間とはまるで違う。
教室の大きさは同じくらいなのに、明るさや雰囲気、匂いさえ違う。
いつも聞こえる野球部のバッティング音が聞こえない。職員室が近くにあるせいか、廊下も騒がしい。
落ち着かない……本当に。
――先生。
離れていても、学校は先生との思い出が強すぎる。