世界を敵にまわしても
「何なのコイツら……っ!」
「……ウザー。何か萎えたわ」
「もういいよ、行こ」
先輩たちが去って行く足音が消えると、クラスメイトの騒ぐ声。
「おとといきやがれーっ!」
「バッカいつの時代だよ!」
「美月、もう大丈夫だよ~」
「また来ても追っ払うし!」
ゲラゲラ笑いながらふざける男子と、あたしを心配してくれる女子。
「だとよ」
耳元で椿がそう囁くから、あたしは恐る恐る顔を上げた。
1番に晴の姿が目に入って、菊池さんやミキ達が入って。みんな、笑ってる。
勝ったって言うように、あたしを囲んで笑っていた。
「……もう、先輩相手にみんな何してんの。ほんと……やだな」
最近、涙もろくて嫌になる。
「わわ! 泣くなよ美月―っ!」
「晴の言うとおりだし。泣いてる暇あんなら今すぐウチらの宿題手伝えよ」
「もう……! 宿題くらいちゃんとやってきなよっ!」
逆ギレだなんてみんながからかうから、あたしは涙を浮かべて怒りながら宿題を手伝った。
――今のあたしはもう、本当に先生と何の繋がりも残ってないけど。
いつだって先生を思い出す。家でも、学校でも。
あたしが手にしたものの背景には、いつも先生の姿がある。
……先生。
あなたがいなくなった代わりに残していったものは、あたしにとって大きすぎて。かけがえないのないものだった。