世界を敵にまわしても


「何なのコイツら……っ!」

「……ウザー。何か萎えたわ」

「もういいよ、行こ」


先輩たちが去って行く足音が消えると、クラスメイトの騒ぐ声。


「おとといきやがれーっ!」
「バッカいつの時代だよ!」
「美月、もう大丈夫だよ~」
「また来ても追っ払うし!」


ゲラゲラ笑いながらふざける男子と、あたしを心配してくれる女子。


「だとよ」


耳元で椿がそう囁くから、あたしは恐る恐る顔を上げた。


1番に晴の姿が目に入って、菊池さんやミキ達が入って。みんな、笑ってる。


勝ったって言うように、あたしを囲んで笑っていた。


「……もう、先輩相手にみんな何してんの。ほんと……やだな」


最近、涙もろくて嫌になる。


「わわ! 泣くなよ美月―っ!」

「晴の言うとおりだし。泣いてる暇あんなら今すぐウチらの宿題手伝えよ」

「もう……! 宿題くらいちゃんとやってきなよっ!」


逆ギレだなんてみんながからかうから、あたしは涙を浮かべて怒りながら宿題を手伝った。



――今のあたしはもう、本当に先生と何の繋がりも残ってないけど。


いつだって先生を思い出す。家でも、学校でも。


あたしが手にしたものの背景には、いつも先生の姿がある。


……先生。


あなたがいなくなった代わりに残していったものは、あたしにとって大きすぎて。かけがえないのないものだった。

< 459 / 551 >

この作品をシェア

pagetop