世界を敵にまわしても


「美月、俺のことはもう、ほんと気にしなくていいからさ」


……そんな風に言われても、「うん!」って明るくは答えられないんだけど……。


「すっげー仲いい友達でいような!」

晴のことだから、そう言ってくれる気がしてた。


本当に嬉しいけど、申し訳なく思わないわけじゃない。

だけど友達でいようと言ってくれる気持ちが、晴の誠意なら。

あたしは尻込みしないで、それに精一杯応えたいと思う。


「……当たり前だよ。晴は、あたしのいちばんの男友達だもん」


傷付けるかもしれない。そういう思いはあったけど、これがあたしの本音で、誠意だ。


微笑んだあたしに、晴はニカッと眩しいほどに笑ってくれる。


「んじゃ、最後に1 個、俺のお願い聞いてくれる?」


……お願い?


「……あたしにできることなら」


 晴は柵に寄り掛からせていた体を起して、あたしの目の前まで一気に詰め寄ってきた。


「何?」と首を傾げると、晴はくしゃっとした笑顔を見せる。



「思い出作りに、俺とデートして!」

「……え?」



デ、デート?



< 518 / 551 >

この作品をシェア

pagetop