1ページの沈黙
暫くキスを続けると、波多野は正気に戻ったみたいに離れてしまった。
ふわりと、ヤツの匂いが遠ざかる。
ほら、もう距離がこんなに。
「もう終わり?」
「…終わりだよ」
「えぇ…」
「酸欠になりたいのか、バカ」
あたしは口を窄める。
それでも、心の中ではほくそ笑む自分がいた。
(酸欠くらい、なんともないわ)
それよりも、バツの悪そうにする波多野を見るのはかなりの優越感だった。
まるでキスが悪いことだとでも言うように、あたしと目を会わそうとしない。
「波多野」
「…なに」
好きだよ。
「キスして」
あたしはこうして、キスを強請る。
いつまでも。
1ページの沈黙
[完]

