CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=



カラオケハウス《新星GTS》渋谷店の店長は、まだ28才の川野さん。


元々、GFC-Ltd.(GFCリミテッド)って言うハードコアバンドのドラムとしてインディーズ活動をしていたが、交通事故を起こしてからは、バンド活動を辞めて、新星MUSICに就職、真面目に働き、店長までに成った。


なかなかのアイデアマンで、色々なイベントを企画したりして、店を盛り上げてくれている。


「川野店長、ご無沙汰しています。」


『やぁ、チャンス君。

活躍は、TVで観ているよ。

今日はベースのテジュン君も一緒なんだね。』


「さっきまで、Seoul Nightにいたんだけど、シラケちゃって出てきたんです。」


『そうなんだ。

で、何時間にする?』


「とりあえず、フリータイムで。」


『ドリンクバーは?』


「4人分で御願いします。」


『じゃあ、2階の222号室な!』


と言うと、マイクとリモコンと伝票の入ったカゴを受け取り、エレベーターに乗った。


部屋に入ると、6人でも充分ゆったりと出来そうな部屋だった。


ソファーに座り、飲み物を注文した。


ここのドリンクバーは、自分達で取りに行っても、室内にあるインターホンで注文しても良く、便利である。


一番最初は、ミリちゃんが、


「私から歌うよ。

何と言っても、カラオケに来るのは初めてなんだから、メチャクチャ嬉しい。」


『カラオケが初めてって言う19才の女性を初めて見たよ!』


「なかなか来る機会が無かったのよ!

ねぇ、泰君。このリモコンの使い方教えて!?」


『もう、ここには知り合いしか居ないんだからテジュンで良いんじゃないの!?』


「そっかぁ。」


『ミリさん、人前と呼び方を変えているんですか?』


「まぁね!

やっぱりデビューしたから、もしかしたらテジュンのファンの人達もいるはずだから、気をつけているのよ。」


『それで、テジュンさんは帽子かぶって黒ぶちメガネかけているんですね。


チャンスオッパ、オッパはどうして何もしないの!?』


「別にバレても気にしないから。」


『超テキトー!』


「俺のファンも全員KYUのファンになってしまえば良いじゃん。」


『そうだよね。

チャンスオッパは、私だけのものなんだから。』


そうだな!





 
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