CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



昭和初期のような外観だが、店内はかなり綺麗である。


外壁には、わざと錆びさせたトタン板を張り付けている。


しかし、内装はちょっぴりレトロ風のファミレスって言う感じだ。


商品ケースには、調理済の料理が並んでいて、お盆に好きな料理を乗せていくのだ。


みそ汁とご飯だけ、その場でよそってくれるんだが、ここのご飯はメチャクチャ美味いのだ。


毎日炊きたてのご飯が食べられるし、おかわり自由なのだ。


東北の農家と直接契約して、発送して貰っていると言っていた。


この9ヶ月近く、週に3回はここで食事しているので、ご主人や亜矢子さんとも仲良くなり、話を聞かされたのだ。


関東地方には、フランチャイズが20店舗ほど在って、今でもフランチャイズに参加したいと、沢山の食堂経営者から申し出が有るそうだ。


だから、ご主人はいつも忙しくて、ここの本店ではなかなか会えないのだ。


そんな事を考えながら、気が付けば皆、食事も終わり、サービスの梅昆布茶を飲んでいる。


「そろそろ行くか!」


『もう少しゆっくりするのら~!

腹一杯だからKYUも歌えないじょ~!

後5分待ってくれ~!

おいらも腹がはち切れるよ~ん!』


「わかった。わかった。

じゃあ、後5分な!

亜矢子さん、俺も梅昆布茶ちょうだい。」


『は~い!

ところで、みなさん最近プロとしてデビューしたんでしょ!?

サイン書いてくれますか!?

お店に飾っておきたいから。』


「良いですよ!」


『ホント!

ありがとうね。

うちの娘がKYUさんの大ファンなのよ。

最近、K-POPにはまって、娘の部屋には●-DRAGONやF(●)やKA●Aのポスターで凄いのよ。

中でもKYUさんのは、CDやDVD、写真集やポスターと全部買ってるんだから。

だから、直筆サインなんか貰ったら涙流して喜ぶわ!

お店用と娘の分の2枚、良いかしら!?』


「分かりました。

良いですよ!」


『まぁ、ありがとね。

じゃあ、この色紙にお願い。』


と言う訳で、2枚の色紙に俺達5人のサインと、XYZ&KYUと書き入れ、日付、それに1枚には、ゆしま食堂様へと書いて、もう1枚には、鎌田章子様へと書いて渡した。



 
< 170 / 300 >

この作品をシェア

pagetop