CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 




《泰俊》テジュン



俺は、林泰俊(イム・テジュン)


在日韓国人


通称名は 林泰俊と書いて、はやしやすとし。


T大学の経済学部2年生だ。



入学して、すぐに友達が出来た。


*********


《入学当時》



同じ講義を受けて、たまたま隣に座った白井拳斗(シライケント)。

『炎』って言う、ヘビメタ雑誌を真剣に読み耽ってたので、


『こういった音楽好きなんだ!?』

って言うと、その質問には応えず、

「俺、中学からズッ~とドラム遣ってきたんだけど、大学でもバンド組んではじけたいんだよね。

一緒にバンドやんない!?」

って、人の話を聞けよ……

と思いながらも、

『俺、ベース出来るぜ。でもヘビメタは嫌だね!』

と返事を返した。

一瞬、寂しそうな顔をしたが

『どんなジャンルの音楽なら良い?』

「そうだなぁ…

メロコアかパンクなら。」

『よし、決まり!
バンドやろうぜ。

俺、白井拳斗、ケントって呼んでくれ。』

「OK!
俺は、林泰俊。
ヤスって呼んでくれたら良いから。」


『後は、ボーカル、ギター、キーボードの3人だな。』

「キーボード弾ける奴なら一人知ってるかも。

文Ⅲの1年に、高校ん時の知り合いがいるけど、

そいつ、小学校からピアノスクールに通ってたし、

高校ん時の音楽祭で、リッチーブラックモアの曲をクラシックにアレンジして独奏してた。

バンド組んでくれるかどうかは、分からないけど……

イッペン聞いてみるわ。」

『じゃあ、昼飯時にそいつに会いに行こうぜ!』



と言う事になり、



今は、12時。

教育学部で、そいつを探した。

彼は、学食に居るらしいと、教えてくれた。

T大の学食は、兎に角広い。

端からズッ~と見て廻り、漸く発見。

柱のかげで見えなかったのだ。


「森本~~!」

『オゥ、林。どったの?』

「どったのじゃなくて、お前を探してたんだよ。」

『おいらに何か用?』

「おまさぁ、ピアノ弾けたよなぁ!」

『あぁ。おいらのピアノは上手いよ~ん。で、どったの?』

「バンド組んでみないか?」

『良いよ~ん!』


って、何かメチャクチャ軽いノリだなぁ。いつも思ってたけど。


「紹介するわ。
彼は、白井拳斗。ドラム担当。




…………





 
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