CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 

フ…
ファーストキス!?

そういえば、ヒーチャンって何時も俺にくっついて遊んでたっけ!

ある日、幼稚園が終わってもずっと一緒に遊んでいて、ブランコに乗りたいって言うから、一緒にブランコに乗ってそこで俺、ヒーチャンにチューしたんだ。

って、こんな車内の狭い空間で、この話題はヤバイっしょ。

変に意識しちゃったよ。

あぁ、キスしてぇ~!

『覚えてますか?』

「うん…、一緒にブランコに乗って、その時チューしたんだよね!」

『あの頃から、ずっと私の心は魔法にかかったんだから。』

「そんな大袈裟な!」

『ホントです。

だから、ずっと好きでした。

私の方からお願いします。付き合って下さいね。』

「良かったぁ。

俺、てっきり振られるかと思っていたから、余計に嬉しいよ。

これからもヨロシクな!」

『ハイ。
こちらこそヨロシクです。』

と言って、ヒカルちゃんは抱きついてきて、俺の頬っぺたにチュッてしてきた。



*****************



帰宅したら、お父さんとお母さんは既に家に戻ってた。

『ただいま!』

「オゥ、ケントお帰り。遅かったな!

今日のイベントライブはどうだった?」

『大成功だったよ。

知り合いのバンドのメンバーを送ってあげてたから遅くなってしまったんだ。』

「そっかぁ。

まぁ、免許取りたてなんだから、運転には気をつけてな!」

『はい。

ところで、何やってるの!?』

「今建設中の俺達の店の内装と設備を検討していたんだよ。」

『やっぱりオープンカウンターのキッチンにするの?』

「その方が、常にお客様に接してられるし、ゴマカシもきかないし、店を清潔に保てるんだ。

厨房の中がお客様に見えるって事は、それだけちゃんとしてないといけないからな。

お前もそろそろ本格的に料理の勉強しないか!?」

『お父さん、ゴメン。大学卒業するまで待ってくれないかな。

卒業したら、真剣に努力して、一緒にレストランをやって行くから。

それまでは、今のバンドの方を精一杯やっていたいんだ。』

「そっかぁ。分かった。

卒業したら、一度フランスに料理の勉強しに行って欲しい。

本場のフランス料理を知って貰う為に。」

『そうするよ。

小さい頃から、お父さんやお母さんの料理を食べて育ったんだから。
任せといて。』
< 79 / 300 >

この作品をシェア

pagetop