モテ男と地味子の初恋物語
女子は顔を真っ赤にして俯いていた。

「み、見ましたから、早くボタンを閉めてください」

「え? ああ、ごめん」

女子は俺の胸を見て恥ずかしがっているらしい。

そう言えば肩に触れただけで「触らないで!」なんて叫んでたし、純情なんだなあ。

今時、こんな純情な女子がいる事に俺は驚きつつも、ちょっと嬉しかった。

「じゃあ今度こそ消毒するから、手を出してくれる?」

ワイシャツのボタンを嵌めて俺が言うと、女子は再びおずおずと手を差し出した。

消毒液のキャップを取り、「指を持ってもいいかな?」と聞いた。
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