モテ男と地味子の初恋物語
「もうヤキモチ妬かないから、別れるなんて言わないで?」

「俺、すぐに怒ったり泣いたりする女は苦手なんだよ。可愛くないし、めんどくさいから。おまえはそういう女じゃないと思ったけど、俺の買い被りだったみたいだな?」

「もう怒らないから、捨てないで?」

「はあ? 捨てるとか捨てられるとか、重いんだよ。俺はもっと軽い付き合いをしたいんだ。やっぱりおまえと付き合うのは無理だな」

俺は郁美の腕を解き、足早に屋上を出た。背後で郁美の啜り泣く声が聞こえた気がしたが、振り返ったりはしなかった。
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