レモンドロップス。
その瞬間、大きな扉が閉まる音が聞こえた気がした。
陽斗と過ごした時間が一気に遠ざかっていく。
「ちょっと待ってよ・・・・」
「もういい」
投げ出すようにそう言うと、陽斗はあたしに背を向けて横たわってしまった。
「なんでそうなっちゃうの、陽斗」
震えてかすれる自分の声。
そんなわけない、あたしたちはこんなことで終わるはずない。
そう思いながらも、無言の陽斗に近づくことができなかった。
拒否されている、あたしは大好きだった人に全力で拒否されてるんだ。
そうはっきり思うと、途端にいたたまれない思いで胸が詰まった。
酸素が足りなくて息ができない、早くここから抜け出したい。
もうやだよ・・・。
「一生そうやって閉じこもってればいいじゃん!!」
陽斗を覆う見えないバリアに向かって、そう言葉をぶつけるとそのまま病室を走り出た。
と、あたしたちの声を聞きつけてやってきた看護師さんにぶつかりそうになってハッとした。
「どうしたんですか?」
「・・・すいません」
つぶやくようなあたしの言葉はちゃんと聞こえたのかな。
びっくりしたような顔の彼女に背を向けて、あたしは近くの階段をよろめきながら一気に下った。