レモンドロップス。
「なに?」
顔を上げると、陽斗はちょっとさみしそうに見えた。
その髪の毛は、夕日に照らされてキャラメル色から茜色に染まっている。
「何か最近口数少なくない?」
「ええ、そうかな?全然気づかなかったけど」
「なんか悩みでもあるの」
あたしはブンブンと大きくつないだ手を振った。
「うーん、もうすぐ進路希望調査あるでしょ。あたしどうしよ・・・、っていうか何も思いつかなくて」
「そっか」
「こないだね、陽斗に見つけられるって言われたけど、まだ分からないなあって」
「そっか」
こういう時、陽斗は急に無口になる。
ちょっと不安になるけど、それはゆっくり考えている証拠。
だからこそ、陽斗の言葉はあたしにとって大切なんだ。
「前にも俺言ったじゃん、大事なことの答えはいつも彩香からもらってるって」
「うん」
誕生日のときに言ってもらった言葉。
「答えはきっともう、彩香の心の中にあるんだよ」
「え?でも・・・」
「彩香が本当に望んでること、本当にやりたいこと、心の中に絶対あるよ」
「あるのかなあ」
陽斗は立ち止まると、あたしの髪の毛にすっと指を滑らせた。
「彩香の髪の毛、真っ赤に染まってる」
「陽斗もだよ」
同じこと思ってたんだ。
思わず笑みを漏らしたあたしを陽斗はそっと抱き寄せた。
「俺は自分がこの先どんな風になるのか、正直よくわかんない」
あたしは陽斗に抱かれながら、暖かな胸から直接その言葉を聞いた。
「でも彩香は大丈夫、どんな時もまっすぐ立ってられるって気がしてる」
「そうだといいな」
あたしの言葉は、陽斗のブレザーの中にホワリと吸い込まれる。