三つの月の姫君
「ほら! 誰かいますよ」


「誰かがいるなら、なおさらものを尋ねるのによかろう」


「怖いひとだったら、どーするんですかー!」


「あのな」


 と男はとげとげのメリケンサックを青年に放ってやった。


「おまえが、オレに何かあったとき、何とかするんだろ? そう契約書に捺印してある」

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