三つの月の姫君
 うろうろしてると心細い上に腹が減る。彼は「仕方なく」ごちそうを口に運ぼうとした。


「いただきまーす」


 かがみ込んでいたのが敗因だった。


 彼のマスターは目下の者に容赦がない。


 ずるずると肩を掴まれ後方へと引きずられて、


「おかしなもん、口に入れてないだろうな」


「おっ、おかしなものって?」


「草を好むのか……猫なみだな」


「あ! えっ? ちょっと、ミスター?」


「いいから、早く来い、猫なみ」


 きっぱりと言って、ミスターは腕組みをした。




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