三つの月の姫君
 その後も青年はがっつんがっつん相手を揺すり続けたが、ミスターは朝まで眠り続け、こともあろうに起きて早々、


「朝づみの薔薇湯を用意せよ」


 と、のたまったのである。


 そしてついでに寝ぼけた彼の入浴を助けたのも青年だった。


 ミスターは夕べの酒が抜けきっていないらしく足がふらつくというのでサンルームまで抱えるように連れて行った。


 熱い湯を張った猫足付きのバスタブに朝露をたたえていたであろう大量の紅薔薇のつぼみがゆっくりと花開いてゆくのを堪能していただくことに。



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