オリヴァー・ジョーンズの事件簿

壱

爽やかに鳴く雀たちの合唱に、まだ日が上ったばかりで柔らかい日差しが部屋に射す。

こんな朝の風景、普通はどうみたって清々しい一日の始まりだなんて思うだろう。

だが、僕、和也(十六)にとっては最悪の一日の始まりなのだ。


ここはジョーンズ探偵事務所、僕が住み込みで勤めている職場だ。

住み込みなので、僕は事務所内にある応接間と名ばかりの大きめのソファーとブラインドがダランと垂れ下がった窓があるだけの簡素な部屋に住んでいる。

「んー…。」

伸びと共にひねりでた声が室内に響く。
やはり、少し大きいからって元々、人が座る専用のものだ。
いつもながらに体のあちこちが痛い。

寝るところがあるだけいくらかましだとは思うが、これはこれできつい。

首をポキポキと鳴らしたあと、体にかけていた薄手の毛布を畳み、「和也専用」と書かれたボストンバックの中に綺麗に入れる。