天翔る奇跡たち


 ……なんだって。風っていろんなものを運んでくるんだなあ。それをいちいちかぎ分けるってのも凄いよね。さすがカミサマ。

「アップル、マップは?」

「ええー? こんなあちこち回って、しかも空からどーやってマッピングするの」

「ちい、協会の奴らに売りつけようと思ったのに……」

「自分でやってみなよ……」

「ばーか、オレらのチームの記録係はオメーだろが。人任せにすんじゃねーよ」

「だーから、できるもんならやってるっつーの!」

「俺は早く帰りたいよ……」と、ちっちゃなつぶやきが風にのって届いた。

「へ? 何か言った? グリフ」

 あたしが言うと、彼は黒のサラサラヘアを揺らして首を横に振った。

「な、なんでもないよ。ははは……」

 何でもないって顔じゃない気がする……大丈夫かしら。





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