ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
俺達はいつもより2,3曲多く
プレイする事になっていた。

ヴォーカルのノリさんはいつもより
厚めに化粧していたが、
俺はネズミ野郎とは言なかった。

ベースのヒデはいつもと違う雰囲気に
少し緊張した面持ちだった。

ギターはというとこれで3人目のヒサシ。

実は最初のギターのクニは大学に
戻らなければならず、1ヶ月ほど前に
帰国してしまっていたのだ。

2人目はワーホリで来たばかりの
女の子だったが、ギターの経験が浅く
結局はノリさんがギターを
兼任するかたちだった。

サックスのウォンさんも気が付いたら
どこに居るかも分からず、
ここ1ヶ月はトリオでプレイしていた。

とは言っても、
ジョノが毎回サポートしてくれた。

そしてここ最近3人目のヒサシが
入った事によってレパートリーも増え、
レニークラヴィッツの曲も
プレイするようになった。

ストーンズばかりでウンザリしていた俺は
ヒサシの登場で新しい風を感じた。

しかし俺はこの時決めていた。

今回の演奏で仕事が取れなかったら
残りのワーホリをラウンドに
しようと思っていた。

バイト仲間のラウンドの話は聞いていたし、
オーストラリアの他の場所も
見てみたいこともあった。

ワーホリの残りも2,3ヶ月に
迫っていた事もあり、サマーを連れて
バスでゴールドコースト、ブリスベン、
シドニー、キャンベラ、メルボルン、
アデレードへ行って、そこから日本へ
戻ることが出来たらと思っていた。

日本へ帰ったら同棲ビザを申請するつもりだが、
サマーが俺と東京へ来てくれるか心配だった。

しかし最悪の場合、俺はサマーと別れ
1人でラウンドに出る決心をした。

オージーとバンドを組むことは
実現できなかったし、なによりも
ケアンズでは充実した日々や
一生の財産にもなる思い出もいっぱい
作ったので離れるのは寂しい。

もちろんサマーとも別れたくない。
しかしそろそろ答えを出し
行動する時がきた。

< 136 / 241 >

この作品をシェア

pagetop