ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
今夜はエージェントの連中も来ている。

できれば仕事を取って他のバーや
クラブでもプレイしたい。

うまく行けばオーストラリア中を
ツアーできるかもしれない。

そうなればエージェントが
エンターテイメント・ビザも
取ってくれるかもしれない。

そうすれば、もちろん
日本に帰らなくて済む。

そしてサマーとも今まで通り
つき合える。

期待する気持ちを抑えつつ
演奏が始まった。

いつもと違うオーディエンスの盛り上がり、
サマー達の声援もあって終始
テンション上がりっぱなしだった。

15分という短い時間だったが、
演奏を終え俺達は満足していた。

プレイがどうこうというより、
無名のローカルバンドにこれだけ客が
盛り上がってくれることが嬉しかった。

そしてケアンズに来たことを
本当に良かったといつも思う。

家に帰っても耳鳴りと共に興奮冷めやまずにいた。

数日後、ノリさんから嬉しいニュースが聞けた。


「仕事取れたよ!」


「ホントっすか!」


「今度、美術館ができるんだけど
そこのオープニングセレモニーで
プレイする事に決まった。」


「他はないんですか?」


「他って?」


「バーやクラブとかで・・・」


「うーん、まだそういう話はきてないな・・・」


「そうですか・・・」


結局コンスタントな仕事は
もらえそうになかった。

その時思い切って美術館を最後に
BJやめる事にした。


「ノリさんだってOKギフトで
働いていて1才の子供もいるし、
ツアーなんて無理だよな・・・」


「よし!そろそろケアンズから離れて、
新しい事にチャレンジするか!」


しかしこれからサマーを説得しなければ
ならないと思うと憂鬱だった。
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