ホスピタル



拓也がエレベーターに乗ってドアを開けて待っててくれる。


そんな些細な優しさが今はすごく嬉しかった。



「ありがとう」


中に入って彼に声をかけた。



「気にすんなよ。何階だったっけ?」


「18階」



「了解したー」


拓也がエレベーターのボタンを押す。



「みんな待ってるかね?」


「あいつらの事だからテレビ見てぎゃーぎゃー騒いでんじゃね?」


逆に俺達の事忘れてたりして。



ははっと笑ってそんな事を言った。




「すごく喉乾いてたらなんか悪いね」



「間違いねー。可哀想になるわ」



ぐだぐだ喋っていたらもう部屋の前。



さあ、忘れているか
待っているか
どっちなのだろうか。



ストラップも何もついていない少し淋しそうな鍵でドアを開ける。



「たっだいまー!」


なぜだか言葉が弾む。


「ただいま」


拓也はさっきまでと打って変わってクールな表情。



「あはははっ。あっおかえり〜!あれ、何か梨愛機嫌いいじゃん!」



愛がばか笑いしながら
私達を迎えてくれた。



「あれ!あーそっか飲み物とか忘れてたし。4人で盛り上がってましたから!!」


隼人君もテレビを見て笑いながらそう言った。


あっやっぱ忘れてたんだ(笑)



「梨愛。やっぱこいつら馬鹿騒ぎして忘れてたよ」


拓也も笑ってそう言った。


「だねっ!やっぱ皆馬鹿だった!!」



私も思いっきり笑えてきて、2人で声を出して笑った。



「...驚いた。拓也がこんな声だして笑うなんて滅多にねえぞ?」



「間違いねーよ!!!はっ!ってか今梨愛って呼び捨てしてたー!!!!」



悟君と隼人君が
私達の会話に騒ぎだした。


「あー!愛も男とこんなに楽しそうに笑う梨愛初めてみたかも!」


またうるさいのが騒ぎだした。


梨愛が本当に笑ってるとこなんて愛と朝美の前だけだもん!


最後は自信満々にそう言った。



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