ホスピタル




「ってか思い出したら喉乾いたー!!」


里美ちゃんが言った。



「ほれ。飲み物」


拓也がみんなの真ん中にコンビニの袋を置いた。



「愛も喉乾いてきたし!!」


愛が袋をあさりだした。



袋の物をだして、
みんなに配る。



「あれ、梨愛の分ないじゃん」



「は?ちゃんと6個あるじゃんか」


拓也が反論する。



「私はココア」



そう言って自分のココアを手に取った。



「は?梨愛いつも水しか飲まないじゃん!まじでココアとか珍しいんだけど」



そう、私は水しか飲まない。



ジュースとか、
甘ったるいもんは苦手。



もちろん、ココアも。



「ん?気分」



「そっかー!じゃあ苺オレ頂くぜ!!」



愛が美味しそうに苺オレを飲む。




私もココアを一口飲んだ。



「....甘い」



じゃあ何でココアにしたんだよー!


みんなからブーイングをうけた。



なんだかね、今日は
ココアが飲みたくなったの。


目について、
気付いたら手にしてた。


ココアは甘くて、切ない味がした。



 
ココアはね、
幹也が1番好きな飲み物なんだ。



いっつも飲んでた。



病室にも、必ずココアが置いてある。



幹也を思い出したら無性に飲みたくなった。




似ている拓也を見たせいかな。
それとも今日は病院の日だったからかな。



頭には幹也しか浮かばなかった。




「そんなに甘いなら俺のコーヒー飲む?」



拓也が優しく聞いてくれた。



「ううん、ココアがいい。ココアが飲みたいの」



「それならいいけど」



拓也の言葉を振り切った。


好きな人の好きな物を
私も味わっていたかった。



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