教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

また、病院の駐車場に戻ってきた。


土曜日の昼過ぎなので、さっきよりずっと車は少ない。



「吉川も、土曜日だから下宿で昼飯出ないだろ?

まだだったら食べろ。遠慮するな」



吉川は、小さくお礼を言って、ビッグマックにかぶりついていた。


食事中に話せる内容ではないから、ちょっとあの件は食べ終わるまでおあずけだな。



「ところでお前、第一志望はどこだっけ?」



医学部なのは知っていたが、偏差値から考えて地元のA医大ではないだろう。



「H大医学部です。・・・・・・父が、そこだったので」


「ふ~ん。お前なら、もっと上に行けるんじゃないのか?」


「いえ、北海道内で医者になるなら、学閥のこともあるのでH大がいいそうです」


「へえ。医者にもやっぱりあるのか。俺たちの業界もH大強いもんな~」


「先生はK大でしたっけ?」


「ああ、最終学歴はそうなるな」



そんな話をしているうちに、二人とも食べ終わったので、ついに切り出す。



「木内が入院した理由は、お前が大いに関係あるんだ」

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