教育実習日誌〜先生と生徒の間〜
二週目・実習八日目

実習生の応援


【菫の実習日誌】

ほとんどの実習生が揃っている、実習準備室。


昨夜、先生から電話で聞いた話を裕香に伝えるべきかどうか、迷っていた。


『岡崎先生が実習生の面倒を見たがらない、部活も力が入らない訳が判った。

おそらく、不妊治療のタイミングが難しくなるからだ。

産婦人科病棟で偶然、岡崎先生を見かけて、ちょっと気になったんだ。

IVFって書かれた部屋から出てきたから。

IVFは「体外受精」のことだったって、さっきググって初めて知ったよ』



先生が調べたところによると。


体外受精による妊娠を希望する場合、質の良い卵子をできれば複数個、卵巣から取り出さなくてはならないらしく。


採卵するなど、不妊治療のために使われる施設が、そのIVF室らしい。


先生も、岡崎先生が不妊治療をしていたっていうのは知らなかったみたい。


ただ、よく時間割の注文をつけられていたって。


だから昨日の年休も、不妊治療のタイミング上、取らざるを得ない休みだったのかも知れない、と。



裕香はやっぱり、昨日のことを気にしていた。


「よく考えたら、指導教諭以外の先生に教えてもらった指導案だってバレバレだから。

きっと岡崎先生もますます気分を悪くしちゃったよね……」


模擬授業もないまま、3〜4時間目に同じ指導案を使った授業を他のクラスでやり、ぶっつけ本番状態で5時間目の公開授業をするのだという。


そのうえ、精神的に落ち込んでる……。


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