教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

……火花が散っているように見えるのは、酔ってるせい。


うん、多分そう。


冷静な先生が、こんな挑発に乗る訳がないもん。


腰に回された腕に力が入っているのも、気のせい気のせい!?



「俺の場合、送り狼という言い方は適切でない」


そう言うと、先生は一瞬私から離れて、渡辺君の耳許で何か囁いた。


驚愕の表情を浮かべた彼に対して、さらに一言。



「念のため言っておくが、3年前の4月1日からだ。

結納は今年の3月31日。

結婚の日取りは……」


そう言うと、先生は私の顔をじっと見つめて、甘やかな笑みを浮かべた。


ななな何でこんなところでっ!?


「これから家に帰って、二人でじっくり話し合って決める。

……行くぞ、菫」



茫然自失の渡辺君に見送られ(?)お店を出た。



「先生、今バラしちゃってもいいの?」


「問題ない。

もう教育実習関係の書類は全部郵送した。

評価さえ決まればこっちのものだからな。

勤務時間もとっくに終わってるし後は……」


その顔、絶対に私が赤面するようなことを考えているはず!


ああもうっ!!


「続きは、先生の家でお願いします!」


と言うしかなかった……。

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