教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

「ミウちゃん、この後暇なら、一緒に昼ごはん食べに行こう」


「え……? は、はい」


夢みたい。先輩から誘ってもらえるなんて。



連れて行ってもらったのは、ファミレスだった。


「マックとかミスドだと、絶対うちの高校の奴もいると思ったから」


もしかしたら、私なんかと一緒にいるところを誰かに見られて、誤解されるのが嫌、だったの?


ちょっと悲しくなってうつむいた私に、先輩がこう言った。



「こんな可愛い子と一緒に歩けて、俺は嬉しいけどさ。

ミウちゃんが俺の友達とかに声かけられたりしたら、落ち着かないだろ?」



今の、本当?


私の事、可愛いって思ってくれているのかな?



「ありがとう、ございます。

私も先輩と二人のほうが落ち着きます……」



そう答えた私を見て、先輩が満足そうに頷いた。



「だんだん俺に慣れてきた?

少しずつでも話してもらえたら、嬉しいな。

俺、ミウちゃんともっと仲良くなれたらって思ったんだ。

学校の事や、勉強の事で何かあったら、俺に相談して?

下宿は夜8時まで、どこの部屋も行き来していいことになってるから。

俺の部屋にも遊びにおいで」


「いいんですか?」


「もちろん、大歓迎。

……でも、他の男子の部屋は行ったらダメだよ。

可愛いミウちゃんがオオカミに食べられたら大変だからさ」


「まさか〜」


こんな風に男の人と打ち解けられるなんて、思ってもみなかった。


< 263 / 290 >

この作品をシェア

pagetop