教育実習日誌〜先生と生徒の間〜

内診室から診察室へ移り、先生が説明してくれたのは思いがけない事だった。



「切迫流産って言って、このままだと流産するかも知れない状態です。

うちの病院では対応できないので、このままMFICUのある病院へ行ってください」



切迫流産?


流産?


赤ちゃんが、死んじゃうかも知れないの?



先生が何か説明しているけれど、頭に入ってこない。


私が妊娠なんて認めなかったせいで、赤ちゃんが危なくなっているんだと思った。


もっと早く誰かに打ち明けていたら。


もっと早く病院へ来ていたら。


私と先輩の赤ちゃんは、私のせいで危険にさらされているの?



昨日もあんなに泣いたのに、私の目からはまた、次々に涙がこぼれた。


後の事は、あまり覚えていない。


紹介状を持って総合病院へ行ったら、すぐに車椅子に乗せられて。


気が付いたら病院のベッドで、またひたすら泣いていた。


私には泣くことしかできなかった。



菫先生が来てくれたので、先輩への伝言を頼んだ。


泣きながらでも強く思ったのは、赤ちゃんを想う気持ち。


私はこの子を何としても守りたい。



「私は、絶対に産みます」


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