恋の相手はメイド君!?
「え……えっと」


急に話を振られた。


どうすればいいの?


何て答えていいか悩んでいると、肩に回された千尋の手に力が入り、なに?と見上げると、



「おばちゃん、こいつ人見知り激しいから許したってぇなぁ?」



こいつ、の時にラブコメ漫画のように、指で額をツンとされる。



「もう、こんなとこでイチャつくんやったら早よ帰り!」


「おばちゃんが、引き止めたんやんか」



うんうん。


額を押さえたまま、あたしも同感する。



代金を払って、袋にしまっていく間も、あたしの頭は先程の二人の会話で、ふわふわと浮いた感じが続いていた。



「あのさ、何、さっきのは?」


店を出て、車に乗り込む前に千尋に聞く。



「あれはね、ご主人様の希望を叶えましょう!サービスやでぇ」


「そのまんまなネーミング」


「やんな?社長に言うとくわ、もっと捻れって」


「ところで、あれがあたしの希望なん?」


夫婦を希望した覚えなんてない。


後部座席に荷物を入れた千尋は、ヒョコと頭をつきだして見てくる。



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