恋の相手はメイド君!?
「ごめん。
起きへんから、叩き起こそうと思ってん」


バットでね。


「んな物騒なもんはしまってくれ!」


「しまいましたが」


チョコンと、布団から頭が出てきた。


デカイ図体の人がすると気色悪いだけなんだけど、彼は顔が整っているだけあって、そんな姿も様似なっている。



「ハァ、死ぬとこやった…」


「あんた、誰やの?」


「え?」


「だから、誰ですかー?」


名を名乗れ、あほ。


ベッドに手をついて、固まる彼を見つめてやる。



まずは、相手を知ることから始めないとね。


話しをするのにも、名前を知らないと何かと厄介だし。


だけど、彼はボーッとあたしを見上げたまま黙っている。


カッコイイけど、いい加減怒るよ。


あたしは、気が短いからね。


特に振られたばっかのあたしは、いつ爆発してもおかしくない。



「…おはよう、やろ?」


なのに彼ときたら、間抜けなことを言う。


「今は、それどころやないもん」


「まずは、挨拶。これ基本中の基本や。
あんた、学校で習わんかったんか?」

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