かくれんぼ
恋心
帰り道、わたしは長年封じ込めてきた恋心がわぁっと全身を駆け巡って息が苦しくなった。

どうしよう、いや、どうもしなくていいのかな。蒼は帰ってきたんだし、ゆっくり対策を練ればいいかな。蒼は受け止めてくれるかな。向こうで彼女作ってたりしたらどうしよう。
いろんな考えが頭を駆け巡って落ち着かない。
蒼はその間ずっと何かを話しかけてくれてたみたいだけど全く耳に入ってこなかった。
「・・葵!?聞いてる?」
「え、や、ごめん。聞いてなかった。」
「葵がさー将来の夢が決まらないってゆうから昔葵がなりたかったもの思い出してたのに。乗り越えなくてもいいけど、乗り越える努力はしなきゃだめだよ」
と蒼が口を尖らせる。
乗り越えたいもの、それはこの関係。もうただの幼なじみはいやだよ。
「あーごめん、ごめん。んーなんだろうなぁ」
「そういやさ、葵は絵上手かったでしょ。昔さー空の絵を描いて『これは蒼』とか意味わかんないこと言ってたじゃん。」
「意味わかんないってひどいなー。あれにはわたしなりにちゃんと意味があったの!!」
そう。中学に入ってわたしは美術部に入った。目に見えるものだけでなく、気持ちも表現できる絵がすきだったからだ。

そのときの最初の課題が、『好きなものを描く』だった。
すぐに思い付いたのは蒼の顔だったが、そんなの描いて誰かましてや本人に見つかったら恥ずかしいと悩んで選んだのが空だった。
蒼がパイロットになりたいくらいだから昔から空が好きなことを知っていた。
「俺の名前はさー空のあおから来てるんだぜ」
とすごく誇らしげに言ってたことを覚えていたからだった。

「あれは蒼の絵なの。空の青は蒼の『あお』だから。好きなもの描けって言われて・・・」
と言った瞬間気づいた。これ告白じゃん。何言ってんの、わたし。
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