かくれんぼ
目が覚めると自分の部屋で寝ていた。
あぁきっと蒼が連れて帰ってくれたんだと思っていると部屋のドアがノックされた。

「蒼!!」
思わずわたしは叫んだがそこにいたのは驚いた顔のお母さんだった。
「今回の、少しひどかったみたいね。帰ってくるなり倒れちゃって・・・」
そんなお母さんの言葉をよそにわたしは
「蒼は!!??帰っちゃった!!??」とお母さんの肩を掴んだ。

「・・・・帰っちゃったよ。だから葵はもう寝なさい」と心配そうにわたしをベッドに戻した。
いきなり倒れちゃったんだもん、そりゃびっくりするよね。でも蒼なら目が覚めるまで側にいてくれると思ったんだけどな。やっぱり今日のことで気まずくなっちゃったかな。

「おやすみ」とお母さんが優しく額を撫でてくれる。今日はこのまま寝よう、お母さんもすごく心配してる。蒼には明日も会えるし、明日なかったことにすればいい。そうすればまた幼なじみの二人に戻れる。
静かに痛む心を慰めながら、わたしはまた恋心に蓋をした。
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