かくれんぼ
約束の時間ギリギリに公園に着く。
蒼はもう来ているかなと思ったがその姿はない。
急に不安と緊張が押し寄せてきて、また頭痛がしてきた。
大丈夫、蒼は来る。

痛む頭を抱えていると
やぶさかに抱きしめられた。
「葵・・」
蒼の声。頭の痛みが止まる。いつだって蒼はわたしを助けてくれる。
「びっくりしたー?ごめんな、遅れて」とわざとおどけたように振る舞う。
わたしもあわせて
「もうこどもじゃないんだから人前で抱き着いたりしないで」と怒ったふりをする。はっきりさせたいの、蒼にとってわたしはなに?

「行くよ」
いつになく真剣な顔をして蒼がまたわたしの手をとる
きつく握りしめられているのにわたしがこわばっているせいかあまり感覚がしない。
「うん。どこ行くの?」
「裏山。かくれんぼしよう。」「か、かくれんぼ!?ちょっと蒼ふざけ・・」

ズキン
また頭が痛む
なんだかこの会話前にもしなかった?
一瞬そう思ったがわたしは手を引かれるままに蒼についていった。
< 15 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop