愛情狂現
「秋、見て!こんなにいっぱい桜が咲いてるよ!」
「僕たちの門出を祝ってるんだよ」
「門出?」
「卒業ってことだよ」
キミはいろんなことを知っていた。
一緒に育ったのになぜか私の知らないことまで知っていて、キミは宝箱みたいだった。
「春、知ってる?男の子と女の子が一緒にいると恋愛感情が芽生えるんだって」
「へぇ、なんか大人って感じだね」
「……そうかなぁ?」
もう、手遅れだったのかもしれない。
「――僕にはすごく身近なことに思えるけど」
だってキミはすでにその感情に気付いていたから。
許されないとわかっていても。
気付いてしまったものは仕方ない。
それにキミは結構頑固だったしね。
否定することができなかったんだろう。