ストロベリーフィールド
「和希、行こう!」


翌朝、何故だか私のベッドに潜り込んで眠っていた和希を叩き起こした。


「なんだよ朝っぱらから!」

不機嫌に頭をボリボリ掻きながら、ゆっくりと体を起こす和希に向かって
脱ぎ散らかしてあった制服を投げつけた。


「早く着替えて。 出掛けるよ」


「だからどこに行くんだよ」


「この前話した、翔と行ったお店。 あそこになら絶妙行ってるはず」


なんてもっともらしく言ってはみたものの、本当はただの思い付きで
"絶対"なんて保証もない。



だけど、なにもしないよりましだから。


翔の名前に和希は反応し、嫌がることもなくテキパキと支度を始めた。



「てゆーかお前、道なんて覚えてんの?」


「……多分」


たった一度行った場所。
はじめて通る道を覚えている自信はない。



だけど、意外なほどにハッキリと場所を覚えていた。
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