天使と野獣
「佐々木、あったぞ。
盗聴器が仕掛けられていた。
と言うことはあの吉永婦警の仕業か。」
携帯で話しているのだから必要ないと思うが、
課長は声を潜めて話している。
「分りませんが…
今から捜査本部に一番近い奴を戻します。
彼等が到着した頃に普通の電話をしますから、
盗聴の現行犯として捕まえてください。
必ず捜査本部の近くの部屋に居るはずです。
そしてすぐに事情聴取に入って
警部たちの行方を聞き出してください。」
「そう言えば… 一度見たなあ。
木原たちがその吉永婦警と…
捜査四課の正岡管理官を囲んで何やら話し込んでいた。
屋上だ。」
木頭が思い出したような声を出した。
信じたくは無いが、
盗聴が事実ならばまだ警察官が関ることもあり得る。
木頭の中でもその思いが膨らんで来ている。
京介は牛乳を飲みながら二人の会話に聞き入っている。
栄は席をはずして納戸へ消えた。
安本は、自分も刑事になったように真剣な顔をして、
二人の刑事を代わる代わる見ている。
自分がこんな場に居合わせるなんて…
信じられない。
「正岡管理官… あのマル棒の嫌味な管理官か。」
警視庁の捜査四課と言えば暴力団対策専門の部署だ。
仲間内では通称マル棒と呼んでいる。
「よし。ターゲットの中に彼を入れて…
皆に連絡だ。
本部への連絡は必ず携帯を使う事も忘れるなよ。」
木頭と佐々木は暗闇の中に光を見出したように
張り切って仲間に連絡を入れている。