Love Slave
裏庭は人気が少ない。朝は日陰っていたけど、今の時間帯は日が照っている。

少し校舎の壁に寄りかかりながら、私は少し近江さんと距離を置いて腰かけた。


「何か……ごめんね。迷惑かけちゃって……」


「いいって、いいって! あんなの、ただの嫌味、妬みよ」


ただの嫉妬ということか。明るく流しているということは、大して気にしてないということなのか。彼女からもらったメロンパンを一口食べる。


仄かな甘みが口全体に広がっていく。咀嚼していくうちに後ろめたさが薄らぐ。久々に食べたからかなり美味しく感じた。

近江さんのほうは2個入りのクルミパンを頬張っている。ハムスターを連想してしまい、頬が緩んでしまう。


「はー、何かお昼食べたら家に帰りたいよね」


「そうだね」


二人で他愛もない会話をする。好きな芸能人の話、最近起きたニュースの話、飼ってるペットの話……色気のない会話かもしれないけど、こんなに人と喋ったのは家族以外では本当に何年振りだろう。


私は、楽しくてたまらなかった。


「また、一緒に食べようよ」


また、と言われた。これ以降もということ。
これからも近江さんとご飯を食べて楽しく喋る。想像するだけで胸が高鳴った。


私はその返事をするために、気持ちを言葉にして、喉から出そうとする。


バシャ――――――――――ン!!


頭上から大量の水が降ってきた。上から下までびしょ濡れになる。ジャージも、その下の体操着も。挙句の果てには下着まで。水分を含んで肌に張り付いているのを感じた。


チラッと上を向くと、あの3人組が2階の窓からクスクス笑って去っていくのが見えた。


「だ、大丈夫!?」


近江さんは持っていたハンカチで濡れ鼠になった私を拭う。彼女は辛うじて無傷だった。


「これ、嫌がらせしてる奴らでしょ。やっぱり、先生に訴えたほうが……」


「いいよ、また心配かけちゃったね。私、着替えてくる!」


彼女は眉毛を下げ、心配そうに見つめられるが、私はできるだけ目線を合わさずにそそくさとその場から立ち去る。
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