ボクがキミをスキな理由【短編集】
「沙良は成宮のコト、可哀想だと思ってるだけでしょ!?」
葉月は厳しい顔をしたまま私の目をじっと見つめる。
「アイツがいつも一人だから沙良は同情してんでしょ??!!」
同情…??
この気持ちが同情だって葉月は言うの??
成宮くんのコトをもっと知りたいと思ったあの放課後も。
他愛ないことですぐに返事をくれる成宮くんのメールを嬉しいと思ったことも。
今すぐ駆け出して成宮くんの誤解を今すぐ解きたいと思うこの気持ちも…。
2人はただの同情だって言うの??
「…ちがう…、違うよ、葉月。」
同情なんて…
そんなにキレイな気持ちなんかじゃない。私…、成宮くんをそんなにきれいな気持ちなんかで見てないんだよ。私は彼を知りたいと思う以上に彼を欲しいと思ってるんだよ?
カレンさんと消えた成宮くんをすごくすごく嫌だと思ったの。私の知らない表情を見せた成宮くんが、なんだかとても許せなかったの。
そんな私がどうして彼に同情なんかすると思う??