ボクがキミをスキな理由【短編集】
―…成宮くん…。
彼の影を追いかけて、長い階段を登って屋上に続く重い扉をギィと開けると、目の前には真っ青な青空が広がるだけで、成宮くんの姿はどこにも見当たらなかった。
―成宮くん…、どこだろう…。
キョロキョロしながら彼を探していると、給水塔の裏側から、チラリと上履きが覗いている。
きっと…アレは成宮くんだ。確かな確証はないけれど何となくそう思った。
給水塔の近くに走っていってチラリと見えた上履きに近づいて、その人の顔をパッと見ると。
「成宮くん…!!!!」
やっぱりそこにいたのは成宮くんで。彼は給水塔の壁にもたれかかりながら、フェンスの向こうに広がる青空をジッと見つめていた。